生涯学習の時代

日本フルードパワーシステム学会で,あなたの活動領域を広げましょう

 

会長 佐藤三禄**

 

平成15年62日原稿受付

**武蔵工業大学工学部機械システム工学科,〒158-8557東京都世田谷区玉堤1−28

 

 

これからフルードパワーシステム技術に取り組む方へ

油圧や空気圧などフルードパワーを使いたいが,どうやったら良いか分からない

他の駆動方法ではどうもうまく行かない.フルードパワーなら何か方法があるのでは

フルードパワーは制御やシステムが難しそう

フルードパワー技術分野に転向したが,何から勉強したら良いか分からない

 

このようなことで悩んでいる方は結構多いのです.日本フルードパワーシステム学会(Japan Fluid Power System Society, JFPSは,皆さんの支援をすることが出来ます.

フルードパワー技術は確かにやや特殊な技術ですが,基本的なポイントを理解すれば実に使い道の多い有用な技術です.JFPSでは入門的なテキストの提供や教育講座などで,フルードパワー技術への案内役を受け持っています.会員はもとより非会員の方も気軽にご相談ください.企業の新人教育などに学会の活動や支援を利用してはどうでしょうか.

またJFPSが仲介役になって,専門技術者や研究者を紹介する事が出来ますから,あなたはフルードパワーのユーザーとして仕事を広げることができます.特に「よろず相談室」は,これまでフルードパワー技術に関わりの無かった企業から関心を持たれています.

油圧や空気圧に限らず,最近では水道水や機能性流体を使ったフルードパワー技術も進んでおり,超大パワーレベルからマイクロモーション制御まで,また省エネルギーや環境対応など,流体が持つ特殊な性質を上手く使ったハイテクノロジーが新たに開発されています.

フルードパワーであなたの技術領域を広げてください.

 

フルードパワー技術の高度化を目指す方へ

“フルードパワーを使っているのだが,もう一段性能を上げたい”

“正直なところフルードパワー理論が分かっていないので,試行錯誤でなんとかしている”

“最新のフルードパワーシステム制御技術でなんとかブレークスルーができないか”

“世界の最新フルードパワー情報を体系的に知りたい”

“新しいフルードパワー技術を開発したが,多くの人に知らせて議論してもらいたい”

 

こんな要望を持っているあなたに,JFPSは多様な機会を提供することが出来ます.

JFPS主催のセミナー,フォーラム,講演会はこれらのテーマをタイムリーに提供しています.

研究委員会のテーマは,まさに最先端技術・研究を取り上げています.あなたが現在持っている技術的課題が,すなわち現在の最先端技術のテーマなのです.開発現場の技術・研究課題やユーザーの要望など,ホットな情報の提供を歓迎します.

JFPSは全世界をつなぐフルードパワー技術・研究情報ネットワークにより,ホームページであなたに十分な情報を提供することができます.特に世界中のフルードパワー関係学術雑誌,国際シンポジウム・プロシーディングスに掲載された論文のデータベースは,有益な情報をあなたに提供します.

会員,非会員に限らず,産学共同による情報交換・技術調査・研究活動にまずは参画してください.

 学会事務局はあらゆる情報,要望のご提供を歓迎します.

 

JFPSの主な活動(平成14〜15年度)

1.学会誌,論文集の発行

 学会の最も重要な活動である学会誌,論文集の発行については,編集委員会の報告を参照してください.

2.集会事業

1) フォーラム

テーマ「電動かフルードか」H14年8月)は大好評につき「電動かフルードかU」(H15年5月)を開催し,参加者78名の大盛況でした.来年を楽しみにして下さい.

2) 講演会

例年春季,秋季フルードパワーシステム講演会を開催していますが,平成14年度は国際シンポジウム開催年につき,春季のみでした.平成15年春季講演会は講演会のほかフォーラム,教育講座と同時開催を試み,基調講演3件,海外招待講演1件,特別招待講演1件および技術懇談会が行なわれ,参加者数述べ268名と大盛況でした.平成15年秋季講演会は沖縄で開催されます.技術・研究レポートを持って沖縄に行きましょう.

3) 講習会

オータムセミナー2002「ハイブリッドカーの現状と将来」(H14年10月,参加者30名)

ウインターセミナ2002「油空圧機器に係わる加工技術」(H15年1月,参加者19名)

フルードパワーシステム特別研修会(H14年度,4回開催,参加8社)

特別研修会ではフルードパワーに限らず,最新の技術課題に関する現場の情報を,会員,非会員に限らず関係企業から提供していただき,意見交換を行なうユニークな企画です.多くの賛助会員企業の参加をお待ちします.

現在,平成15年度の計画を進めています.

4) 教育講座

「トライボロジー講座」常設教育講座(H14年9月,計5日間,参加者23名)

「徹底!実用油圧講座〜〜油圧の基礎からコンピュータシミュレーションまで〜〜」特別教育講座 (H14年8月,参加者19名)

「空気圧システム入門」(H15年5月,参加者48名)

5)第5回JFPS油空圧国際シンポジウム‘02奈良

2002年11月に開催された第5回JFPS油空圧国際シンポジウムは,世界16カ国からの214名の参加があり,特に海外からの参加者が過去最高の108名と,国内の参加者数106名より多かったのは,全世界がわが国のフルードパワー技術に,大きな関心を持っていることを示しています.

次回,2005年11月第6回JFPSフルードパワーシステム国際シンポジウム‘05筑波の準備が始まっています.

6) IFPEX2002カレッジ研究発表コーナー”参加

22大学32研究室および研究委員会

3.研究委員会

1)「油圧駆動システムにおける制御手法に関する推進研究委員会」(委員23名,〜H15年6月)

2)OHC-Sim特別研究委員会」(委員8名,〜H16年5月)

3)「モーションベース(パラレルリンク)特別研究委員会」(委員29名,〜H16年6月)

4)「水圧駆動研究委員会」(委員14名,〜H16年3月)

5)「空気圧機器の流量特性評価法に関する研究委員会」(委員16名,〜H15年8月)

6)「環境適応型空気圧システムに関する研究委員会」(委員16名,〜H16年3月)

7)「機能性流体を用いたスマートフルードパワーシステムに関する研究委員会」(委員21名,〜H16年3月)

上記1)および5)に関しては,期間終了後の再企画が検討されています.研究委員会の成果は報告書

として印刷発行されます.

4.学会創立30周年記念事業

平成12年に創立30周年を迎えた本学会では,記念事業を計画し会員に特別募金をお願いいたしましたが,会員の皆様のご理解を得て840万円余のご寄付を頂きました.平成14,15年度にはこの記念事業を実施し,ご寄付により有意義な活動が展開されています.

1)記念出版「フルードパワーシステムの基礎と応用」(3分冊)

「油圧応用事例集」「空気圧基礎テキスト」「水圧テキスト」の3分冊を出版しましたので,是非活用してください.

頒布価格 8000円(各分冊3000円)

会員,非会員の皆様にお勧めします.

特別募金にご協力いただいた賛助会員企業には1部贈呈いたします.

2) IT環境整備事業

ホームページ機能の拡充を目指してサーバーの更新と回線の高速化を行い,すでに平成15年5月から新システムにより稼動を始めています.さらに研究委員会活動情報の迅速開示や論文集および学会誌の電子ジャーナル化の検討も始めています.この緑陰特集号はその第一段階です.

会員,非会員を含めて,ホームページに関するご要望をお寄せください.

3) 記念国際交流事業

記念事業として,特に発展めざましいアジア諸国との交流を企画しています.すでに平成15年度春季講演会には韓国・蔚山大学校機械・自動車工学部梁舜龍教授による国際招待講演を行ないました.秋季講演会には中国流体伝導制御学会と連携して,中国の若手研究者・技術者の招聘交流を計画しています.韓国,中国のほか,インド油圧学会からも定常的な交流の申し出が来ています.学会のこれからの重要な活動として検討を進めています.

会員,非会員を含めて国際交流に関するご要望をお寄せください.

 

著者紹介

さとうさんろく

佐藤三禄君

1936年1月7日生れ.

1964年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了

1965年東京工業大学精密工学研究所助手

1973年武蔵工業大学機械工学科助教授,75年同教授,96年同機械システム工学科教授現在に到る.油圧制御の研究に従事.日本フルードパワーシステム学会,日本機械学会,計測自動制御学会,精密工学会会員.工学博士.

email:sansato@eng.musashi-tech.ac.jp