資 料
「油圧の基幹技術−その継承と活用−」研究委員会*
早川 脩**
* 平成25年5月27日原稿受付
** 元東京計器, 〒183-0053 東京都府中市天神町3-6-6
1.研究委員会の概要
油圧産業は電子・情報技術との融合によって,よりスマートな油圧システムの開発への挑戦が続けられている.その実現のためには油圧固有のハード面の基幹技術をなおざりにすることはできないが,ともすればIT技術が偏重され勝ちな風潮の中で,過去に獲得されてきた有益な知見に基づく基幹技術を整理・記録して次世代に伝承していくことは,油圧産業をさらに発展させるためにきわめて重要であるとの観点から,本研究委員会は平成22年9月に活動を開始している.
当初の計画では2年の活動期間で報告書をまとめるとしていた.しかし,この間に得られた成果は,油圧の基幹技術が継承され活用されるために非常に有効なものであると判断するに至り,当学会の会員だけでなく油圧に係わる一般の技術者にも広く読んでいただくために技術専門書として出版したいと考え,活動期間を1年延長させていただいた.
本研究委員会の構成メンバーはつぎのとおりである.
主査 小嶋英一(神奈川大学名誉教授)
幹事 早川 脩(元東京計器)
委員 池尾 茂(上智大学名誉教授),
井上 淳(カヤバ工業顧問),
手塚昴宏(元カヤバ工業),
広田善晴(元油研工業)
2.出版物の構成と内容
出版物は,第1編「油圧システム」と第2編「油圧の基礎技術」からなる.
第1編は代表的な油圧システムとして建設機械,産業車両,特殊車両,加工機械,自動車,試験機・シミュレータ,製鉄設備,航空・宇宙,船舶,農業機械,特殊機械を採り上げ,各機械・設備においてどのような問題が存在し,それらをどのような油圧技術で解決してきたかを解説する.各解説は,それぞれのシステムに相応しい専門家を選び,執筆を依頼したものである.
第2編は第1編の理解に資する目的で,流れの基礎,油圧機器の特性,および油圧システムの騒音・振動について解説する.
上記のほかに,付録として代表的な油圧機器の外観,構造,図記号,およびそれらの主な機能と用途などを一覧できる付表を巻末に載せる.
3.進捗状況と今後の予定
平成24年度は10回の本委員会と臨時委員会を1回開催し,集まった解説原稿の査読,内容検討,校正・整理および全体の整合性の確保などを行ったが,平成25年度に入っても未回収の原稿が数点存在している.
今後はこれら未回収原稿の完成を図るとともに,出版書の体裁や普及させる方法など出版に向けての準備を出版社と進める.
なお,出版はこの年末を予定している.
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