挨 拶

副会長新任のご挨拶*

 

小山 紀**

 

*平成26627日原稿受付

**明治大学理工学部機械情報工学科,〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1 

 

(一社)日本フルードパワーシステム学会の平成26年度総会が開催され,学会長に築地徹浩先生が選出されました.就任の挨拶で築地学会長は三つの運営指針を掲げられました.内容は築地会長が本号でお伝えになると思いますが全面的に賛同します.副会長は肥田一雄様が継続され,新たに小山が任命されました.新任のご挨拶として簡単に所信を述べさせていただきます.

前会長の香川先生,前副会長の北畠様,副会長の肥田様を初めとする方々の尽力により,平成25年度において賛助会員が29社,正会員が37名それぞれ増加しました.しかし他学会が会員を大幅に減じている現状では安心できません.学会員となりたい動機は当然学会の有用性です.学会はこの面でも存在意義を問われています.

小山は社会の変革が,新たな学会の存在価値を生むと確信しています.製品サイクルの短縮,プロジェクトフローの巨大化やグローバル化など,産業環境の変革は企業間競合を投資効率が一層重視されたものへと変えてゆきます.すなわち各企業はコストや期間を削減するため共通性が高く,高価で作成に手間のかかるツールは各社単独ではなく共同で開発し,その分,製品の独自化に専念するようになるのではないでしょうか.あるソフトウエアツールを使った開発分野では,ユーザ業界とツールベンダーがコンソーシアムを設立し成果や課題を共有し,ソフトの改良をベンダーに提案・要求するなどすでにこの方向に向かっています.学会はベンダーではありませんがツールを基礎研究と読み替えると,同様の取組みが学会を活性化させます.学会は企業と研究を共有し,この利用を推進する公平な専門中立機関として活用されるべきでしょう.賛助会員企業の方々も「学会と企業では時計の進み方が違う」などとおっしゃらず積極的に学会を利用して下さい.学会との共同開発に適した課題が必ずある筈です.まずはできるところから始めたいと思います.大学等の研究者も例外ではありません.自己の研究が社会に役立つことを望まない研究者などいないでしょうから.

学会の受皿として現状では研究委員会が最適と思います.各研究委員会と協力しながら委員会活動についての方策,すなわち開かれた委員募集形態と,参加企業への迅速な情報公開方法を築地学会長のもとでまとめます.その結果研究委員会の活動範囲が「フルードパワー」に収まらなくなったとしても(個人的には)かまわないと思っています.

学会の活動にはフルードパワー工業会との連携が大事です.また,学会の実効ある運営には健全な財政基盤が不可欠であり,賛助会員様には一層のご支援をお願いします.

前会長のもとで推進された学会各組織の意志疎通の迅速化をさらに進めるとともに,「そこに行けば何か役に立つ発見がある」「ここは面白い」など,会員の皆様にとって魅力ある学会となるよう微力ながら最大限の努力をしていく所存です.末筆ではありますが会員の皆様のご理解とご協力をお願いします.

 

著者紹介

おやま おさむ

小山 紀君

明治大学理工学部教授,流体制御の研究に従事.日本フルードパワーシステム学会副会長,

日本機械学会,計測自動制御学会などの会員,工学博士

E-mail:oyama@isc.meiji.ac.jp