資 料

 

基盤強化委員会の活動報告*

 

川嶋 健嗣**

 

*平成26519日原稿受付

**東京医科歯科大学生体材料工学研究所,〒101-0062 千代田区神田駿河台2-3-10

 

1.はじめに

本稿では,平成25年度の基盤強化委員会の活動を簡単に報告する.本委員会の任務は委員会規程に「会長,副会長と連携し,会員(正会員,学生会員,賛助会員を含む以下会員という)および広告の増強,そのほか本学会の基盤強化に関する業務を任務とする」とある.12年前に同委員会の幹事を拝命していた時と比較し,会員の高齢化や会員減少に対応すべく,本委員会の役割がますます重要となっている.本委員会には毎回,香川会長をはじめ副会長各位にも出席いただき,基盤強化に取り組んだ.

2.活動内容

 基盤強化委員会の業務は,規程に下記が明記されている.

1)会員勧誘活動,(2)広告募集活動,(3)財政基盤強化策の検討と実施,(4)若手道場の企画運営,(5)会員募集パンフレットの作成,(6)会員別募集チラシの作成,(7)産学共同研究活動,(8)情報システム委員会との連携による情報発信,(9)企画委員会,編集委員会との連携による企画立案,(10)研究委員会の立案と企画委員会への提案,(11)特別研究委員会の立案と提案,(12)その他,学会の基盤強化に関わる業務の12項目である.

毎年委員会で会員募集のパンフレットを作成し,会員勧誘活動を実施している.パンフレット作成にあたり,委員会では本学会の基盤強化のためには何を実施すべきか活発な議論を行っている.また,毎回委員会では継続的に意見交換を行っている.地道な勧誘活動,魅力ある研究委員会の実施,ユーザの取り込み,情報発信の強化などの意見に対して議論を行い,活動につなげている.それを踏まえて昨年度は,香川会長,築地副会長,北畠副会長,肥田副会長の各位に先頭に立って勧誘活動いただいた.その結果,多数の学会が大幅に会員数を減らしている中で,本学会では前年と比較して正会員で37名増加,賛助会員29社(50口)増を実現した.平成263月末において正会員961名,賛助会員132社(282口)となり,財政基盤の強化につながっている.しかし,まだ赤字体質であり,一層の努力が必要であることは委員会として認識している.

学会員数増加のためには,魅力的な研究委員会が必要であること,フルードパワーユーザにより参加いただくために,まず,今まで実施されたセミナーや現状の研究委員会を概観した.その結果から,不足している領域や,ターゲットとすべき研究テーマを検証し,本委員会から研究委員会を提案した.本委員会副委員長横浜国大佐藤先生に「自動車の動力伝達・制御に関わるフルードパワー技術研究委員会」を,また香川会長には「フルードパワーシステムにおける流体現象研究委員会」を企画委員会,理事会での承認経て立ち上げていただいた.

また,春や秋の講演会で,会員以外の方にもフルードパワーを知っていただく企画が必要であるとの意見から,理事会,企画委員会に支援をお願いし,法政大学田中先生,慶応大学竹村先生他の方々に御協力いただき, 神戸で開催された秋季講演会では,初の試みとして公開技術フォーラム「これがフルードパワーの魅力だ!」を開催した.会場はほぼ満席でとても好評であった.

本委員会が主導して実施している業務として,フルードパワー道場の企画運営がある.フルードパワーの若手研究者の方々に,積極的に学会活動に参加し,企業と学会,企業と企業のヒューマンネットワークを築く交流の場を設けることを趣旨としている.平成18年より年4回,講師を招いての講演会と,その後技術交流会を行っている. 平成24年度からは若手フルードパワー道場から若手の文言を外し,また,1回だけの参加も可能として,より門戸を広げて開催している.本企画運営は,前委員長の明治大学小山先生に尽力いただいており,昨年度は「フルードパワーに生かせる電子回路技術(2)」と題して4回実施し,興味深い講演とその後の技術交流を行うことができた.マイコンの実物を見ながらの講演や,大学の研究室見学など盛り沢山で,回数を重ねるごとに参加者の親睦が深まり,とても良い企画であったと実感している.

毎年フルードパワー道場の企画テーマに頭を悩ませるところであるが,委員会での活発な議論を経て,本年度はフルードパワー道場9「モデルベース開発の事例」と題して開催予定である(http://www.jfps.jp/topix/topix_1402_1.html).開催背景は,システムの開発プロジェクトの複雑化・大規模化に伴い,従来の紙ベースによる仕様書では情報が不足し,システムモデルを用いて開発プロセス全体で円滑なコミュニケーションをはかる必要が生じたことにある.企業からの委員の方々もこの企画なら自社の技術者をぜひ参加させたいとの意見をいただいている.皆様の積極的なご参加をお待ちしている.

前委員長の小山先生からいただいた宿題の一つに,学会HP上でのフルードパワーバーチャルミュージアム(http://www.jfps.jp/vir/)の充実がある.これは,内外に広くフルードパワーの活用事例を知っていただくことを目的としたもので,企業から参加していただいている委員の尽力で少しずつ内容を更新している.また,よりストーリ性を持たせる必要があるとの議論を経て,ほかの学会のHPなどを参考にしながら,現在建設機械と空気圧電磁弁の開発の歴史を概観できるページを作成中である.

さらに,学会は産学連携の場を提供することが重要な役割の一つであり,企業の方にフルードパワー関連の研究者をより良く知っていただくことを目指して,産学連携若手フルードパワー研究者リストの充実を計っている(http://www.jfps.jp/list_A.html).特に,関西方面の教員の情報が不足していたことから,大学の委員の方を中心に,リストを更新した.この先生に入っていただくべきだとのご意見があれば,ぜひお知らせいただければと思っている.このリストは関西での工業会の集まりなどで配布いただいた.産学連携が一つでも増えればと期待している.そのほか,フェロー候補の募集,本年度開催予定の国際見本市IFPEX2014のカレッジコーナーの取りまとめ(幹事の神奈川工大吉満先生の尽力)などの業務を行っている.

3.おわりに

以上,本稿では平成25年度の基盤強化委員会の活動を簡単に紹介した.基盤強化のため委員会として何をすべきかいつも委員会にて熱い議論をしながら,焦らず着実に進めることを心掛けた.本委員会は単独で何かするというより,理事会をはじめ企画委員会や情報システム委員会など各委員会との密な連携をはかりながら活動していくことが非常に重要であると感じている.ご尽力いただいた会員の皆様にこの場を借りて御礼申し上げるとともに,今後の今まで以上のご協力をお願い申し上げます.

著者紹介

かわしま けんじ

川嶋 健嗣君

1997年東京工業大学大学院理工学研究科博士前期課程修了.同助教授などを経て,2013年東京医科歯科大学生体材料工学研究所教授,現在に至る.流体計測制御,ロボット工学の研究に従事.日本フルードパワーシステム学会,日本機械学会などの会員.博士(工学).

E-mail:kkawa.bmc@tmd.ac.jp  URL: http://www.tmd.ac.jp/i-mde/www/bmc/bmc.html