資 料
油空圧シミュレーション研究委員会*
田中 和博**
* 平成27年6月5日原稿受付
** 九州工業大学大学院 情報工学研究院,〒820-8502 飯塚市川津680-4
本研究委員会(委員長 中田毅,幹事 田中和博,委員18名)は,油空圧システムの局所的な流れ場の特性や,それが影響するするシステム全体の特性についての議論を深めることを目標として,平成25年4月から2年間の予定で設置されたものである.2014年度は,各委員からの,システムのモデル化とシミュレーションについてのソフトウェアやそれらの応用例の紹介を通して,この分野の発展の方向性を探るべく,4回の委員会を開催したので,以下にその概要を報告する.
第5回(平成26年6月12日,機械振興会館,15名出席): 油圧制御技術とシミュレーション,眞田 一志 委員(横浜国立大学),(1)研究室紹介,研究へのスタンス(キーワード:制御工学とモデリング),油圧系のモデルとアウトプットおよび油圧制御技術とシミュレーションの動向,(2)環境融和型水圧駆動システム,(3)機械計測制御系のモデルベース開発,(4)電気モータの高密度化.
第6回(平成26年8月25日,機械振興会館,13名出席): 油圧アームの新しい機械力学に基づく動力学計算,酒井 悟 委員(信州大学),(1)ハミルトン力学系を対象とした制御系の設計問題を扱う課題,(2)油圧ロボットにおけるシステムの同定(複雑な非線形制御と未知パラメータ),(3)油圧ロボットのモデルベース制御,(4)ポートハミルトン系に基づいた動特性を表す数式群の表現方法.(5)研究室の紹介(制御系の基礎,線形制御系の応用,農業用ロボット(スイカ収穫ロボット)).
第7回(平成26年11月27日,機械振興会館,10名出席): 油空圧シミュレーション手法の考現学,林 光昭 委員((株)IHI),(1)製品開発工程の説明と各工程における油空圧モデルの利用状況およびその際に選択されるモデル化の手法(プログラム言語,MATLAB/Simulink,物理系モデリングソフト),(2)物理系モデリングソフトの特徴,問題点,現在のトレンド(非因果的モデル化手法の出現),(3)因果的モデルのソフト(Easy5,Amesim)と非因果的モデルのソフト(SimulationX,MATLABのオプションツールSimスコープ,Open Modelica)による各種システムのシミュレーション事例.
第8回(平成26年3月5日,機械振興会館,12名出席): ボンドグラフが普及しないのは何故か?について考える,鈴木 勝也 委員(中京大学),(1)ボンドグラフ法との出会いと社内での勉強会,(2)ボンドグラフ法の長所,(3)燃料電池車,遠心ポンプ,筋腱複合体の例,(4)ボンドグラフ法が普及しない理由,(5)ボンドグラフ法を普及させるための具体的な提案.
たなか
かずひろ 田中 和博君 1983年東京大学大学院博士課程修了(工学博士).1984年上智大学理工学部助手.1988年東京大学工学部助手.1989年九州工業大学助教授(情報工学部).1999年同大教授.現在に至る.CFD解析,流体システムのモデル化等の研究に従事.日本フルードパワーシステム学会,日本機械学会(フェロー)などの会員. E-mail:
kazuhiro@mse.kyutech.ac.jp URL: http://tanakafutiwaki-lab.jp/
著者紹介