国内外のフルードパワーシステム研究開発動向調査委員会*
川嶋 健嗣**
* 平成26年4月16日原稿受付
** 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所,〒101-0062 千代田区神田駿河台2-3-10
本学会の基盤強化委員会において学会活性化の一つの方策として新たな研究委員会の発足が議論された.その中で,欧米ではエネルギー問題の解決を目指すなど,社会のニーズを的確に捉え,明確な目標設定の下にフルードパワーシステム関連の研究開発が活発に行われているとの指摘があった.この現状を踏まえ,国内外,特に欧米における最新の研究開発動向を調査し,今後のフルードパワーシステムの進むべき方向性を探求することは非常に重要なことから,2015年に本研究委員会を発足させた.
本委員会では,主に国際学会や展示会などに参加,発表された方に話題提供いただき,また各委員が動向調査するなどの活動を通じて,今後国内において研究開発に注力すべきテーマを議論していくことにある.
これまでに委員会を3回開催し,活発な議論を行っている.委員会には産業界の方,大学関係者などおよそ25名が参加している.第1回は2015年8月25日に行われ,日本フルードパワーシステム学会の事務局長藤谷秀次様にハノーバメッセ見学報告の講演をいただいた.今後の方針として,海外の関連学会に出席いただいた方に話題提供いただくとともに,学会発表の論文を分野や目的別に整理することを確認した.
第2回は2016年1月22日に行い,国際学会に出席された委員2名に話題提供いただいた.横浜国立大学眞田一志先生には,2015年10月に米国シカゴで開催されたASME/BATH 2015 Symposium on Fluid Power & Motion Controlの様子を紹介いただいた.日立建機の大科守雄様には2015年5月フィンランドで開催されたTampere Digital Fluid Power workshopに関して講演いただいた.
第3回は2016年5月9日に実施し,東京工業大学の香川利春先生に2015年11月カタールのドーハで開催されたFLUCOME2015での発表,先生の省エネや水素貯蔵への取り組みなどを講演いただいた.また,日立建機の熊谷賢人様に2016年3月ドイツドレスデンで開催された10th IFKにおける注目すべき発表について,油圧システム,ポンプとバルブに大別して紹介いただいた.今後これらの学会での発表内容をアプリケーション別や機能目的別など複数の視点から整理,分析する予定である.
フルードパワー関連の海外における最新の研究事例を知ることができ,今後の研究開発の方向性を探る上で非常に有益な委員会となっている.途中からの参加も大歓迎であるので,興味を持たれた方は,当方にご連絡いただき,是非ご参加ください.
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