資 料
OHC-Sim特別研究委員会*
桜井 康雄**
* 平成30年6月8日原稿受付
**足利大学工学部，〒326-8558 栃木県足利市大前町268-1
本委員会（委員長 九州工業大学 田中和博，幹事 足利大学 桜井康雄）は，通常の研究委員会とは異なり，企業側からの研究費支援により実施される特別研究委員会である．引き続き平成30年4月より第21期を開始している．本学会の支援によりその基本バージョンが開発された国産初の油圧回路設計・動特性解析用シミュレーションパッケージOHC-Simは本学会に設置された特別研究委員会により実用に耐えるソフトウェアとなった．本委員会では，OHC-Simのさらなる機能向上，サポートおよびその有効な使用方法の探索を行う．さらに，企業側委員が抱えるモデリングおよびシミュレーションに関する問題の検討も行う．
平成29年度は1社2名の参加であった．田中委員長が中心となり企業側委員が抱えている油圧システムのモデル化に関する問題について検討を行った．本委員会の運営委員会が主催している1Dのコンピュータシミュレーションとモデル化に関する特別教育講座を平成29年8月24日に実施した．タイトルは「1DCAEに基づくモデルベース開発の基礎：油圧システムのモデリングの基礎と演習」，参加者は12名（一般：1名，正・賛助会員：11名，学生員：1名）であった．ここでは，ブロック線図によるモデル化の基礎から始めてOHC-Simで利用されているボンドグラフ法のエッセンスのみを抽出し分かりやすくしたパワーフローによるモデリングの基礎と演習，パワーフローを実機に応用したモデル化の事例についての講義を行った．
本学会の会員および賛助会員企業に所属している企業の方々はOHC-SimVer.2.7のダウングレード版であるOHC-Sim公開版が学会のホームページの会員ページから無償でダウンロード可能である．セットアップ方法（フォートランコンパイラのダウンロードとそのセットアップを含む）と使用方法は本学会より出版した書籍「油圧システムのモデリングと解析手法」の第２章「OHC-Sim（JFPS40周年記念 公開版）機能・操作方法解説と例題集」に掲載されている．この書籍に掲載されている豊富な例題を通して，油圧回路の動特性のコンピュータシミュレーションの有用性およびOHC-Simの操作性の良さを体験していただきたい．このことは，高額な市販の1Dのシミュレーションソフトを使う前のスキル向上にもつながるものと考えている．
OHC-Simに興味を持たれた方は，本学会において5万円で頒布しているフォートランコンパイラと一体化させたOHC-SimVer.2.8をお使いいただき，本学会を活性化するためにも，本委員会に参加していただくことを期待しております．本委員会に参加することにより，油圧システムのモデリングスキルを向上させる機会，モデルについて深く考える機会が得られます．
著者紹介
 |
さくらい やすお 桜井 康雄 君 1986年上智大学大学院博士前期課程修了．富士重工業（株），上智大学助手等を経て2000年足利工業大学講師，2001年同大学助教授，2007年同大准教授，2009年同大教授，2018年4月より足利大学教授，現在に至る．油空圧システムの動特性解析，ECF利用システムの開発に従事．日本フルードパワーシステム学会・日本機械学会の会員．博士(工学)． |