資 料

 

油圧機器のトライボロジーなど基盤技術に関する特別研究委員会[U] *

 

西海孝夫**

 

* 201971原稿受付

** 芝浦工業大学MJHEPプログラム機械工学科

MJHEP, MJII(MARA-Japan Industrial Institution) Lot 2333, Jalan Kajang-Seremban,

43700 Beranang, Selangor Darul Ehsan, Malyasia

 


1.はじめに

 本研究委員会は,油圧機器のトライボロジーなど基盤技術を対象として平成274月に設置され,1年の活動延長を申請して3年間の活動を行ってきたが,本年度より基盤強化委員会のもとでの特別研究委員会に名称変更となった.年に2回程度の会議を開き,その中で話題提供や工場見学などを実施しながら,若手とベテランの油圧技術者の交流を図っている.本稿では,昨年度の議事録をもとに本委員会の活動内容について報告する.

2.研究委員会の活動状況

本研究委員会は,表1に示すとおり22名の委員で構成されている.平成30年度の活動状況は以下のとおりである.

(1)   第1回研究委員会

日時:2018119日(14001700場所:油研工業株式会社 東京支社 9F 会議室,

出席者:22

(a)  話題提供者:釜田 恵太郎(三菱重工業)

題目:潤滑・機構・構造連成解析を用いた流体機械の信頼性・性能向上設計技術

概要:斜板式油圧アキシャルピストンポンプの複数しゅう動部の同時評価と最適設計について話題提供があった.はじめに当該ポンプの構造について説明があり,機構・潤滑連成計算とクリギング応答曲面法による最適化計算を組み合わせた手法とその計算結果が発表された.本手法では,信頼性と効率を両立させるため,構成部材の焼付限界PV値以下を制約条件として,複数しゅう動部のクリアランスをパラメータとした最適化計算が行われている.その結果,従来設計の寸法領域外に適正点があることを見出して,しゅう動部の接触PV値は焼付限界以下を確保した上で,当該ポンプ効率を4%改善できる見通しを得ている.

(b)  話題提供者:小谷 光生,一柳 隆義委員(防衛大学校)

題目:油圧回路内に生じる脈動現象のCFD解析

概要:CFDを用いた数値解析によって油圧機器の脈動伝達特性を求める手法について話題提供があった.はじめに,任意の油圧機器の伝達マトリックスを求める原理について解説し,CFDで脈動現象を解析するための計算設定,境界条件,脈動源についての説明がなされた.つぎに,油圧管路を対象とした解析結果と実験結果および数学モデルとの比較がなされ,CFD解析結果の妥当性が検証された.さらに,油圧サイレンサの一つであるサイドブランチの圧力脈動のコンター図のアニメーションが示され,CFD解析により圧力脈動の伝播を視覚的に調べられることを報告した.

 

(2)第2回研究委員会

日時:2019215日(金)14001700場所:日本アキュムレータ株式会社 本工場,

出席者:18

(a) 工場見学 日本アキュムレータ株式会社 本工場

日本アキュムレータ株式会社の工場見学に先立ち,同社の土屋部長から会社概要,油圧アキュムレータの構造と用途の説明があった.その後,同社営業部の吉田課長代理および内田課長代理,渡辺係長の案内で工場内を見学した.本工場ではアキュムレータ用部品の機械加工,耐圧気密試験,洗浄と表面処理または塗装,組立て,出荷前作動試験が行われる.また東工場ではアキュムレータのシェル部分の熱間鍛造,熱処理,ショットブラストなどが行われている.性能試験室ではアキュムレータを使ったアイドリングストップ方式油圧源の実演装置を見学した.従来の可変容量方式や回転数制御方式よりもエネルギー効率が改善されていることが視覚で理解できる装置である.

 (b)  話題提供者:杉村 健委員(日本アキュムレータ

題目:IFASでの軌跡 新しい油圧ショベル用システムへの挑戦

概要:まず,ドイツ国アーヘン工科大学の紹介,および当大学におけるフルードパワーに関する教育の状況およびフルードパワーを専門に取り扱う研究所IFASInstitute for Fluid Power Drives and Systems)の紹介があった.つぎに油圧ショベル用の油圧システムの最新システムの説明があり,従来技術よりもエネルギー効率を改善する複数の新しい手法の解説がされた.

3.おわりに

本委員会は,一昨年度末にて閉会の予定であったが,本委員会委員からの強い要望と日本フルードパワーシステム学会のご協力ご支援によって特別研究委員会の一つとして活動することとなった.これからも委員会としては,油圧機器メーカの若手技術者が横断的に活発で率直な意見交換できるような環境を整えていきたい.

最後に,話題提供のために委員会での講演や議事録作成にご協力いただいた委員の方々,またご多用のところ快く工場見学をお引受いただいた日本アキュムレータ鰍フ関係各位にこの場をお借りして御礼申し上げる.

著者紹介

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にしうみたかお

西海孝夫 君

1976年青山学院大学理工学部機械工学科卒業,1979年成蹊大学大学院工学研究科博士前期課程機械工学専攻修了,1983年成蹊大学助手,1992年防衛大学校助手,その後に講師,助教授を経て2007年同校教授, 2019年芝浦工業大学MJHEPプログラム機械工学科教授,現在に至る.油圧に関する教育研究に従事,日本フルードパワーシステム学会評議員,博士(工学)
E-mail: nishiumi(at)jadypm.edu.my

 

表1 油圧機器のトライボロジーなど基盤技術に関する特別研究委員会[U]の構成

20193月,順不同)

 

 

氏  名

所  属

委員長

西海 孝夫

芝浦工業大学MJHEPプログラム機械工学科  教授

幹事

一柳 隆義

防衛大学校 機械システム工学科 准教授

幹事

高辻 和正

株式会社タカコ 技術本部 第一開発部

委員

伊藤 宙

川崎重工業株式会社 精密機械・ロボットカンパニー

委員

井上 皓平

株式会社不二越

委員

井上 翔太

出光興産株式会社 潤滑油二部 営業研究所 設備油グループ

委員

大塚 正和

潤滑油協会

委員

大橋 彰

日本フルードパワー工業会

委員

小川 睦

KYB株式会社 基盤技術研究所 要素技術研究室 

委員

川北 成美

コマツ 開発本部 材料技術センタ

委員

黒川 道夫

イートン株式会社 技術部

委員

櫻井 茂行

日立建機株式会社 研究開発本部 先行開発センタ

委員

杉村 健

日本アキュムレータ株式会社

委員

鈴木 健太

株式会社日立製作所 研究開発グループ

委員

田中 嘉津彦

福井工業高等専門学校

委員

富松 幸亮

日本ルーブリゾール株式会社

委員

中川 修一

ヤンマー株式会社 中央研究所

委員

中辻 順

ダイキン工業株式会社

委員

野中 暁

JXTGエネルギー株式会社 中央技術研究所

委員

林 明宏

油研工業株式会社 戦略製品開発プロジェクトチーム

委員

松澤 正善

ボッシュ・レックスロス株式会社 技術部

委員

水落 桂

大生工業株式会社 技術部