資 料
OHC-Sim特別研究委員会(第22期)*
桜井康雄**
* 2020年6月13日原稿受付
** 足利大学工学部,〒326-8558栃木県足利市大前町268-1
本委員会(委員長 九州工業大学 田中和博,幹事 足利大学 桜井康雄)の設置期間は,2019年4月〜2020年3月であった.本委員会では,本学会の支援によりその基本バージョンが開発された国産初の油圧回路設計・動特性解析用シミュレーションパッケージOHC-Simのさらなる機能向上,サポートおよびその有効な使用方法の探索と企業側委員が抱えるモデリングおよびシミュレーションに関する問題の検討を行う.しかしながら,今期も企業側委員の参加は得られなかった.そこで,今期より,本特別研究委員会委員あるいは本学会の個人会員を獲得することを目指し,1DCAE研究委員会に参加していただいたシミュレーションに興味がある企業の技術者の方々にオブザーバとして運営委員会に参加していただくようにした.ここで,話題提供を行い,質疑・討論を行うようにした.
第1回運営委員会は2019年9月9日に11名の参加者(オブザーバ含む)を得て実施された.足利大学西剛伺先生より「オープンCAE学会と電子機器の温度予測事例紹介」という演題で話題提供が行われ活発な質疑応答が行われた.
第2回運営委員会は2019年11月15日に9名の参加者(オブザーバ含む)を得て実施された.SOLIZE Engineering(株)飯野浩道氏と馬衛東氏より,「ハイブリッドショベルの動特性のシミュレーション」と題した演題で話題提供が行われ活発な質疑応答が行われた.
第3回運営委員会は2020年3月11日に実施予定であったが,新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点からやむなく延期し,現在も開催日は未定である.
2019年9月10日に例年実施している特別教育講座を開催した.講座のタイトルは,「油圧機器・システムのモデリング入門:市販ソフトを利用するときに知っておくことはこれだ!」であり,参加者は11名(賛助会員:10名,一般:1名)であった.ここでは,ブロック線図によるモデル化の基礎から始めてOHC-Simで利用されているボンドグラフ法のエッセンスのみを抽出し理解を容易にしたパワーフローによるモデリングの基礎と演習,パワーフローを実機に応用したモデル化の事例についての講義を行った.9月11日には運営委員会を開催し,特別教育講座の総括とアンケート結果の分析を行い,次年度の本講座の実施について検討した.さらに,この教育講座で教えているパワーフローをOHC-Simで利用できるようにするための検討を行った.これが実現できれば,OHC-Simのユーザーカスタマイズ機能を積極的に利用できる可能性があるため,運営委員会では,この実現に向けて鋭意検討を継続している.
本学会の会員および賛助会員企業に所属している企業の方々はOHC-Sim公開版が学会のホームページの会員ページから無償でダウンロード可能である.豊富な例題を通して,油圧回路の動特性のコンピュータシミュレーションの有用性を理解し,高額な市販の1Dのシミュレーションソフトを使う前のスキル向上に役立てて欲しい.さらには,本委員会へ参加を検討していただきたい.
著者紹介
桜井康雄 君
1986年上智大学大学院博士前期課程修了.富士重工業(株),上智大学助手等を経て2000年足利工業大学講師,2001年同大学助教授,2007年同大准教授,2009年同大教授,2018年4月より足利大学教授,現在に至る.油空圧システムの動特性解析,ECF利用システムの開発に従事.日本フルードパワーシステム学会・日本機械学会の会員.博士(工学).
E-Mail: ysakurai(at)ashitech.ac.jp URL: http://www2.ashitech.ac.jp/mech/sakurai/