解 説
JFPS名誉員を拝命して*
中野 政身**
* 2022年6月28日原稿受付
** 東北大学未来科学技術共同研究センター,
〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1 東北大学産学連携先端材料研究開発センター内
理事としての諸活動の中で学会の細則も含めた諸規程の改定が特に思い出される.本学会の2012年4月の一般社団法人化への移行に伴い学会の定款を改定していたが,細則に関しては改定されておらず定款との整合性がとれていなかった.そのような事情があって,2013年に当時の香川利春会長のもと「細則」の改定をつかさどった.細則には,10の常置委員会に関する条項も含まれていたため,各常置委員会の規程を調べたところ,それぞれの常置委員会の規程が個別に定められており各委員会の連携等を俯瞰して掌握するのが困難であったことなどから,各委員会の委員長のご協力のもと,各常置委員会の現状と戦略的な所掌を勘案して「委員会の所掌および運営に関する規程」として一つの規程に改定させていただいた.さらに,当時,他の学会との共催,協賛等の行事が多かったにもかかわらず,これらに関する学会としての規程がなかったことから,新たに,「主催・共催・協賛・後援に関する規程」を制定させていただいた.
本学会は2020年に記念すべき創立50周年を迎えている.学会創立50周年記念実行委員会が発足され,創立50周年記念事業の一つとして,以前の創立記念事業において,すでに油圧,空気圧,水圧に関するテキストが発行されていたため,フルードパワーのもう一つの作動媒体として期待される機能性流体に関する入門テキストの出版が計画された.実行委員会内に設置された記念出版編集分科会において,著者が本機能性流体入門テキストの編集を担当し,書籍「機能性流体入門−基礎と応用−」3), 4)(全278ページ)を2021年7月に日本工業出版鰍ゥら出版している.
1996年から現在まで,本学会内に次に示す機能性流体とその応用に関する8つの研究委員会を継続して設置し,委員長として活発な調査研究活動を推進してきている.
(1)機能性流体の油空圧機器への応用に関する研究委員会5)(1996年4月〜1999年3月)
(2)機能性流体を用いたスマートフルードパワーシステムに関する研究委員会6)(2002年4月〜2006年3月)
(3)機能性流体を活用した次世代型フルードパワーシステムに関する研究委員会7)(2006年4月〜2009年3月)
(4)機能性流体を核としたフルードパワーシステムの融合化に関する研究委員会8)(2009年4月〜2012年3月)
(5)機能性流体との融合化によるフルードパワーシステムの新展開に関する研究委員会9)(2012年4月〜2015年3月)
(6)機能性流体テクノロジーの次世代FPSへの展開に関する研究委員会10)(2015年4月〜2018年3月)
(7)機能性流体フルードパワーシステムに関する研究委員会(2018年4月〜2022年3月)
(8)機能性流体FPSのフロンティア展開に関する研究委員会(2022年4月〜2024年3月)
これらの研究委員会での活動を通じて,本学会の機能性流体を活用したフルードパワー技術分野の研究展開や発展,並びに学術的交流,そして機能性流体コミュニティの一層の拡充に関して何かしらかの貢献ができたのではと思っている.機能性流体のフルードパワー分野への展開に関して一緒に活動してきた研究委員会のメンバーには心から感謝したい.
物質に磁場を印加するとその粘弾性が変化する現象の科学をマグネトレオロジー(Magneto-Rheology)といい,その機能をMR効果(Magnetorheological Effect)と呼ぶ.その代表的な物質として,機能性流体の一つであるMR流体(Magneto-Rheological Fluid)がある11).MR効果を発揮する種々の機能性材料の創製技術からそれらの応用技術を総称して,”MRテクノロジー”と呼んでいる.筆者の研究開発事例を中心に,MR流体に加えて,MR効果の向上と分散粒子の沈降抑制を期した多孔質体にMR流体を含侵させたMR流体多孔質コンポジット,MR効果の向上とより過酷な環境での使用を期したオイルを含まない高流動性を付与した強磁性体の粉体からなるドライMR流体,そして強磁性体微粒子をシリコンゴム等のマトリックスに分散して硬化したMRエラストマーなどのMR効果を発揮する機能性流体・ソフトマテリアルの創製・評価,そしてそれらの種々の分野への応用技術などに関して解説する.
3.1 MR流体とその応用
t =ty+h (1)
ここで,hはMR流体の塑性粘度,はせん断速度である.図2には,磁場印加型の平行二円盤レオメータ(円盤間間隙h=0.5mm)を用いて計測した市販MR流体(MRF-132DG,Lord Co.)の代表的な電磁レオロジー特性(流動曲線; せん断速度−せん断応力t曲線)を示す12).比較的高磁場での低せん断速度域を除いて,すべての印加磁束密度Bにおいてせん断応力はせん断速度に依存せずほぼ一定の値を示している.この特性により各種MR流体デバイスはその運転速度に大きく依存せず,印加磁場に依存したパッシブな力を発生することができる.また,せん断速度=0 s-1での降伏せん断応力(流動曲線と縦軸との交点でのせん断応力値)は印加磁束密度にほぼ比例して増大するが,B=0.7 T程度から磁気的に飽和する傾向がみられ,B=1.0 Tでせん断応力がt=45 kPa程度に達しており,かなり大きな誘起せん断応力を発揮することができる.
MR流体の微小振動振幅下における動的粘弾性の変化特性として,図3には,印加磁束密度B=0.2 T,振動周波数f=1.0 Hzの際のMR流体の貯蔵弾性率G’,損失弾性率G”および損失正接tandのせん断応力振幅taに対する変化を示す12).せん断応力振幅taの増大に伴い,G’が徐々に低下しG”が徐々に増加しそしてtandが上昇し始めるta=0.35 kPaを弾性降伏せん断応力として定義でき,その左側(ta < 0.35 kPa)では完全弾性特性が支配的な線形粘弾性特性を呈する.ta > 0.35 kPaの範囲では,taが大きくなるにつれて弾性的特性に加えて粘性的特性が顕著になる線形粘弾性特性を示すが,ta=5 kPa程度付近でG’およびG”が急激に低下して完全な降伏現象が加わり,それ以上のtaでは降伏現象が明確に現れる非線形粘弾性特性が支配的になる.ta < 0.35kPaの線形粘弾性域では,貯蔵弾性率G’がほぼ一定値を示すことが特徴的である.
3.1.2 MR流体の応用 現在年間300 tonオーダーのMR流体が生産・販売されており,車両サスペンション用ショックアブソーバに代表されるように各種のMR流体を活用した機器・システムが実用化され普及してきている13).ここでは,ダンパ,ブレーキ,クラッチなどの要素機器への応用とそれらを活用した各種のスマートマシンシステムに関して紹介する.
停電時にも信頼性をもって作動するMR流体を使ったダンパとして,電気的な制御系を一切使わずに,永久磁石とチェックバルブを用いて変位×速度の正負によって減衰力が変化するMR流体ダンパを開発し,その建築構造物の免震制御への有効性を実証している14).図4に示すように,本ダンパは二つのピストンヘッドを有しており,それぞれのピストンヘッドには変位に応じて磁気回路が開閉することによって磁場が印加される環状流路と流れの向き(ダンパ速度の正負)に応じて開閉するチェックバルブが設置された磁場の影響を受けないバイパス流路が設けられている.これらの構造によって,本ダンパでは変位xと速度vの積の符号に応じて減衰力fの強弱が変化する(x×y<0→f大,x×y>0→f小).本MRダンパからなる一自由度振動系の免震制御特性(図5)からわかるように,共振振動数周辺の伝達率だけが著しく低下し免震制御の有効性が確認できる.
MR流体クラッチは,印加磁場(コイル電流)によるトルクリミッター機能及び一定トルクでの滑り回転機能を発揮するため,モータ等の他の動力源と組み合せることによってバックドライバビリティが確保できようになり,人と接触して用いるロボット等の安全・安心の向上と確保に寄与することが期待できる.機能回復訓練用の下肢装着型パワーアシスト装具のバックドラィバビリティを確保することによってその安全・安心の向上を目的に,サーボモータと多盤型MR流体クラッチそして各種減速機からなるMR流体アクチュエータを開発している(図6)15).開発したMR流体クラッチは設計目標トルク(約4.5 Nm)を十分に満たし,高い応答速度をもつ.また,回転速度依存性が低く,印加電流のみで伝達トルクを任意に設定できることから制御性が高く,トルクリミッター機能を有するMR流体クラッチの構造上の安全性からバックドライバビリティを確保でき,開発したMR流体アクチュエータはパワーアシスト装置に適している.
MR流体クラッチ・ブレーキの動力伝達・制動系への応用の手始めとして,小型EV向けのMR流体ブレーキを設計・開発し,そのブレーキ特性を把握するとともに,実車(超小型EV)の四輪に搭載し走行試験を実施している.本車両用MR流体ブレーキは,多層円盤間にMR流体を充填した構造をとり,十分なブレーキ性能(最大トルクT=180 Nm, at I=2.0 A)とブレーキフィーリング・ABS制御の適用など高速応答性と高い制御性があることが実証されている(図7)16).今後,スマートモビリティなどへの実用展開が期待される.
3.2 MR流体多孔質コンポジットとその建築構造物用ダンパへの応用
MR流体の分散粒子の沈降を防止することと,MR流体が多孔質体に保持されることから活用に際しての漏れ防止用シールを不要とすることを目的に,不織布にMR流体を含侵させたMR流体多孔質コンポジットを開発している17).多孔質体として横弾性率Gと多孔質構造の異なる二種の不織布(図8(a), (b))にMR流体(MRF-132DG)を含侵させたMR流体多孔質コンポジットを創製し,一様磁場下での往復せん断モードにおけるMR効果を評価している.図8(c)には,得られた変位−せん断応力ヒステリシス曲線上の最大誘起せん断応力tmaxの印加磁束密度Bに対する変化を示す.MR流体多孔質コンポジットに往復せん断変形を与える可動平板は,接触材の磁性の有無による違いを調べるために,鉄製とアルミニウム製の二種類を用いている.いずれの不織布でも,鉄製の可動平板を用いた場合には,非磁性のアルミニウム平板の場合に比べて,最大せん断応力が総じて約2.0〜2.5倍程度大きくなっており,かつMR流体よりも1.4〜1.7倍程度大きいことから,MR流体多孔質コンポジットとすることにより著しいMR効果の向上が見込める.また,より細いファイバーが複雑に絡み合い横弾性率の大きな不織布(TRF-50H)を用いたMR流体多孔質コンポジットがより大きな最大せん断応力を呈する.
建築構造物の免震・制振システムにMR流体ダンパを適用する際には,長時間静置時のMR流体中に分散した強磁性体微粒子の沈降が信頼性などの実用上の問題となる.MR流体を多孔質体(不織布)に含浸させたMR流体多孔質コンポジットを活用することによりこの粒子沈降の問題が解決できる.このMR流体多孔質コンポジットを活用した多盤型回転MRブレーキとその回転を直動に変換するボールネジとを用いた20 kN 級の免震・制振用の直動型可変減衰力MRダンパ(最大全長800 mm,ストローク±100 mm)を開発している(図9)17).図10には,正弦波加振時(f=0.3 Hz, xa=50 mm)の変位xに対する発生減衰力Fのヒステリシス曲線を示す.すべてのコイルへの印加電流Iにおいて,矩形状のヒステリシス曲線を呈し,Iの増大に伴いその最大減衰力も大きくなり,I=0.5 Aで減衰力は設計値の20 kNにほぼ達している.本MR流体多孔質コンポジットブレーキを用いた直動型MRダンパからなる一自由度振動系に対する免震制御の結果の一例を図11に示す.三の丸地震波に対するその応答を示し,相対速度フィードバック制御を適用することにより,著しく物体(建築構造物)の振動変位を低減できることがわかる.
3.3 ドライMR流体と車両動力伝達・制動系への応用
既存のMR流体を車両の各種デバイスに応用する場合には,環境温度が-40℃〜160℃程度まで問題なく使用できることが要求される.MR流体がオイル等の液体を分散媒としていることから,低温時の粘度上昇が問題となる場合が多い.特に,クラッチやブレーキ等の動力伝達・制動装置に活用する場合には,低温環境下でのMR流体の粘度上昇による引摺りトルクの著しい増大が問題となる.その解決策として,オイル等の液体の分散媒を用いないでガス中にナノSiO2の微粒子をCore-shellコーティングした強磁性体微粒子を分散した高い流動性を有する磁性紛からなるオイルフリーのドライMR流体を提案し,開発してきている18).流動性の向上を維持しながら,大きなMR効果を得るための最適なSiO2の添加量を0.49wt%程度としている.図12には,その最適なSiO2=0.49wt%の添加量の場合の印加磁場による流動曲線(せん断応力−せん断速度曲線)の変化を示す.すべての印加磁束密度Bにおいてせん断応力はせん断速度に依存せずほぼ一定の値を示し,B=0.9Tでせん断応力がt=50kPa程度に達している.
開発したドライMR流体を車両用の車輪ブレーキに応用することを試みている19).小型EV用の車両用多層ディスク型ドライMR流体ブレーキを開発し,小型EVの四輪に実装して走行試験を実施し,良好なブレーキ性能を発揮することを実証している(図13).図14には,開発したドライMR流体ブレーキの定常トルク特性を示す.20秒間のコイルへの電流I Aの印加により制動トルクが瞬時に発生しほぼ一定レベルを保持し,OFFによって瞬時に引き摺りトルクに戻る.また,コイル印加電流の増大に伴って,定常制動トルクも増大しI=2.5 A印加時に設計目標トルク160 Nmを上回る最大180 Nmの制動トルクが得られている
3.4 MRエラストマーとその剛性可変デバイス・システムへの応用
MR流体の分散媒はオイル等の液体であるが,シリコンゴム等のマトリックスに強磁性体粒子を分散させて硬化させることによって,磁場印加に対して主に弾性的特性(剛性)が可変なMRエラストマーを創製できる20).したがって,MRエラストマーの応用に際しては,この剛性可変機能を活用することが多い.この剛性可変機能を活用した積層MRエラストマー吸振器の試作機が開発されている21).この可変剛性吸振器は,図15(a)に示すように,MRエラストマーシートと鋼板をそれぞれ16枚交互に積層して,その中間に永久磁石を,その周囲に電磁石コイルと鉄鋼ヨークを配置して磁気回路が構成される構造をしている.電磁石へのコイル電流の印加方向により,積層MRエラストマーに印加される磁界を強めたり(図15(b)),弱めたりする(図15 (c))ことにより,永久磁石だけによる磁界印加時の剛性を中心に剛性を増大および低下させることができる.図16に示す本積層MRエラストマー可変剛性吸振器の基礎を水平方向に加振した際の周波数伝達率特性(図16(a))および固有振動数のコイル印加電流による変化(図16(b))からわかるように,印加電流I Aに応じて吸振器の剛性が変化することにより,吸振器の固有振動数は,13.5 Hz (I=0 A)を中心に正電流印加時に上昇し,負電流印加時に低下しており,3.2 Hzから19 Hz程度まで固有振動数が可変なことがわかる.本積層MRエラストマー可変剛性吸振器を1階建ての建物モデルSDOF振動系のルーフに設置することによって,吸振器の固有振動数を基礎の入力振動周波数に適応的に同調させることよって,広範な入力振動数に適応して建物の振動を効果的に抑制することができる21).また,図15に示す剛性可変機能を有する積層MRエラストマーデバイスを免震基礎アイソレータとして用いて,図17(a)に示すようにこの積層MRエラストマー基礎アイソレータ4台の上に三階の建物モデルを搭載した3-DOFの免震制御システムを構築して,加振テーブルによる免震制御性能が評価されている22).図17(b)から分かるように,積層MRエラストマー免震基礎アイソレータにファジー制御を適用することにより良好な免震制御性能が発揮されている.
4.おわりに
磁場の印加によって物質のレオロジー特性(粘弾性)が変化する現象を活用したMRテクノロジーについて,著者のこれまでの研究のホットトピックとして紹介した.紹介したMRマテリアルが機械的インピーダンスパラメータとしての粘性と剛性パラメータを印加磁場によって可変であるという稀有な点で,各種の機械システムの振動制御やロボットの動特性可変のためのインピーダンス制御への活用が期待される. 本学会を中心にフルードパワーという視点から研究開発および実用化展開ができたことを幸せに思っている.末筆ながら,これまでの著者の研究を支えて下さった国内外の共同研究者,数多くの研究室の学生諸氏の熱意と努力に対して敬意と感謝の意を表したい.
1) 中野政身:学術貢献賞を受賞して(機能性流体フルードパワーをめざして),フルードパワーシステム(電子出版緑陰特集号),Vol.48,No.E1,p.E48-E58(2017)
2) 中野政身:研究と学会活動の回想、学会への期待−機能性流体分野,フルードパワーシステム(特集号:創立50周年記念企画−フルードパワーエキスパートからみる将来への提言−),Vol.51,No.1,p.20-22(2020)
3) https://www.nikko-pb.co.jp/products/detail.php?product_id=5107
4) 中野政身:「機能性流体入門−基礎と応用−」書籍紹介,フルードパワーシステム,Vol.52, No.5, p.207-210(2021)
5) 中野政身編集:「機能性流体の油空圧機器への応用に関する研究委員会」研究成果報告書,日本フルードパワーシステム学会,p.227(2002)
6) 中野政身編集:「機能性流体を用いたスマートフルードパワーシステムに関する研究委員会」研究成果報告書,日本フルードパワーシステム学会,p.153(2006)
7) 中野政身編集:「機能性流体を活用した次世代型フルードパワーシステムに関する研究委員会」研究成果報告書,日本フルードパワーシステム学会,p.159(2010)
8) 中野政身編集:「機能性流体を核としたフルードパワーシステムの融合化に関する研究委員会」研究成果報告書,日本フルードパワーシステム学会,p.168(2012)
9) 中野政身編集:「機能性流体との融合化によるフルードパワーシステムの新展開に関する研究委員会」研究成果報告書,日本フルードパワーシステム学会,p.156(2022)
10) 中野政身編集:「機能性流体テクノロジーの次世代FPSへの展開に関する研究委員会」研究成果報告書,日本フルードパワーシステム学会,p.136(2022)
11) Nakano, M., Yamamoto, H., Jolly M.R.: Dynamic viscoelasticity of a magnetorheological fluid in oscillatory slit flow, Int. J. of Modern Physics B, Vol.13, No.14, 15&16, p.2068-2076(1999)
12) 中野政身:磁場印加型レオメータの開発とMR流体の磁気レオロジー計測,フルードパワーシステム, Vol.48, No.2, p.78-81 (2017)
13) 中野政身:機能性流体の研究開発と実用化の動向,フルードパワーシステム, Vol.47, No.6, p.265-271 (2016)
14) 村上貴裕,酒井理哉,中野政身:変位と速度に応じて減衰特性の変化するパッシブ式MRダンパの開発,日本機械学会論文集(C編),Vol.77, No.774, p.257-269 (2011)
15) 中野政身:パワーアシスト用MR流体アクチュエータ,油空圧技術,Vol.54, No.3,p.34-39 (2015)
16) 中野政身,辻道善治:MR流体ブレーキの開発とEVへの適用,電気自動車のモーションコントロールと走行中ワイヤレス給電技術,堀洋一,横井行雄監修,エヌ・ティー・エス,p.116-129 (2019)
17) Nakano M, Yang J., Sun S., Totsuka A., Fukukita A.: Development and damping properties of a seismic linear motion damper with MR fluid porous composite rotary brake, Smart Materials and Structures, Vol.29, No.11, Article No.115043, p.1-13 (2020)
18) Nakano, M., et al.: Magneto-Rheological effects and fluidity improvement of novel dry MR fluids, Proceedings of the 10th JFPS International Symposium on Fluid Power, Fukuoka, Japan, Paper No. 1B11, p.1-5 (2017)
19) Nakano, M., et al.: Development of dry MR fluid brake for super-compact electric vehicle, Proceedings of 16th Int. Conf. on Flow Dynamics (ICFD2019), Sendai, Japan, p.392-393(2019)
20) Tian T., Nakano M.: Fabrication and dynamic viscoelastic properties of silicone rubber-based MR elastomers with silicone oil, International Journal of Applied Electromagnetics and Mechanics, Vol.59, No.1, p.349-355 (2019)
21) Sun S., Deng H., Yang J., Li W., Du H., Alici G., Nakano M.: An adaptive tuned vibration absorber based on multilayered MR elastomers, Smart Materials and Structures, Vol.24, No.4, Article No.045045, p.1-13 (2015)
22) Yang J., Sun S., Tian T., Li W., Du H., Alici G., Nakano M.: Development of a novel multi-layer MRE isolator for suppression of building vibrations under seismic events, Mechanical Systems and Signal Processing, Vol.70-71, p.811-820 (2016)
なかの まさみ
中野政身 君
1982年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了,工学博士.1981年早稲田大学助手,1982年山形大学助手,助教授を経て,1997年同教授,2008年東北大学教授流体科学研究所,2018年同教授未来科学技術共同研究センター.機能性流体,流体関連振動・騒音,振動制御などに関わるスマート流体制御システム工学に従事.日本フルードパワーシステム学会,日本機械学会,自動車技術会,日本工学アカデミーなどの会員.日本機械学会フェロー,JABEEフェロー.
E-mail: masami.nakano.b2(at)tohoku.ac.jp
URL: http://www.masc.tohoku.ac.jp/project/nakano_001.html
図1 MR流体の磁場下での粒子クラスターの形成 |
図2 市販MR流体(MRF-132DG)の流動曲線(一定磁場下におけるせん断速度−せん断応力曲線) |
図3 市販MR流体(MRF-132DG)のせん断応力振幅aに対する動的粘弾性特性の変化(h=1.0 mm, B=0.2 T, f=1 Hz)) |
図4 変位×速度に依存して減衰力が可変なMRダンパの概略図 |
図5 開発したMRダンパからなるSDOF免震システムの免震制御特性 |
図6 下肢装着型パワーアシスト装具用に開発したMR流体アクチュエータ |
図7 車両用MR流体ブレーキと小型EVへの実装 |
図8 供試不織布とMR流体多孔質コンポジットのMR効果(接触可動平板の材質による違い) |
図9 MR流体多孔質コンポジット多盤型回転ブレーキを活用した直動型可変減衰力MRダンパ |
図10 正弦波加振時の変位x−減衰力Fヒステリシス曲線のコイル印加電流Iによる変化 |
図11 MR流体多孔質コンポジット直動型ダンパからなるSDOF振動系の三の丸地震波に対する応答 |
図12 ドライMR流体(SiO2: 0.49wt%)の流動曲線 |
図14 超小型EV用ドライMR流体の定常トルク特性 |
図13 四輪にドライMR流体ブレーキを実装した超小型EV |
図15 積層MRエラストマー可変剛性吸振器とコイル電流による磁界制御 |
図16 可変剛性機能を有する積層MRエラストマー吸振器の周波数伝達率および固有振動数の電磁石コイル印加電流I Aによる変化 |
図17 MRE基礎アイソレータ+三階建物モデルのEI Centro地震波に対する応答(固定基礎、固定剛性基礎アイソレータ,およびファジー制御MRE基礎アイソレータの場合の比較) |