資 料

 

油圧機器のトライボロジーなど基盤技術に関する特別研究委員会 *

 

西海 孝夫**

 

* 202241日原稿受付

** 芝浦工業大学 UniKL JUPプログラム非常勤講師,〒135-8548 東京都江東区豊洲3-7-50

 

1.はじめに

 本研究委員会は,油圧機器のトライボロジーなど基盤技術の発展を目的に20154月に設置され,1年の活動延長を申請して3年間の活動を行ってきた.2019年度からは基盤強化委員会のもとでの基盤研究委員会に名称変更となった.本委員会は,例年では年に数回の研究委員会を開き,その中で話題提供や工場見学などを実施してきた. しかし周知のとおり, 昨年度と今年度はコロナ禍の影響のため,定期的な開催ができず,残念ながらオンラインで1回のみの開催となった.本稿では,昨年度の議事録をもとに本委員会の活動内容について報告する.

2.研究委員会の活動状況

本研究委員会は,表1に示すとおり24名の委員で構成されている.2021 年度の活動状況は以下のとおりである.

 

日時:2022124 日(14001630Microsoft Teams利用,出席者:24 

 

(a)  話題提供者:久保光生氏(不二越 油圧事業部技術部 部長)

題目:「油圧ポンプ可変速駆動システムの現状と課題」

まず,工作機械で使われる油圧ユニットが消費する電力,油圧システムにおけるエネルギー損失について説明の後,油圧ユニットには,ポンプ(固定容量/可変容量)と電動機(回転数固定/可変速)の組合せ方が4パターンあり,それぞれの違いを油圧回路と具体的な製品例で説明いただいた.

つぎに,油圧ユニットにおける消費電力は,回転数,ポンプ容量,圧力,効率を使った式で表され,省エネをねらった油圧ユニットは回転数,ポンプ容量のどちらか,または両方を可変とすることで省エネを実現していることを説明いただいた.その中で,両方を可変する油圧ユニットでは,回転数を下げると電動機の効率が低下し,負荷トルクによってもその効率が変化すること,可変ポンプの方は軸トルクが大きくなることがグラフで示された.その上で,単に回転数を下げるのではなく,回転数とポンプ容量の2つの自由度を使って,ポンプと電動機を組み合わせたトータルの効率が高くなるように制御して省エネ性を高めていることを説明いただいた.

最後に,機器単品の効率を高める取り組みは当然必要だが,実際の使われ方を踏まえてどの運転条件で効率を上げるべきか,単品を組み合わせたトータルの効率はどうかという見方が必要であることを説明いただいた.

 

(b)  話題提供者:林盛太氏(鰹ャ松製作所 開発本部油機開発センタ 技監)

題目:「建設機械における省エネ油圧技術動向」

まず,低炭素社会に臨むために必要な省エネを達成する,建設機械に搭載される油圧コンポーネント,油圧システムの技術動向と,建設機械の使われ方の対応例について,説明スライドとビデオを交えて紹介いただいた.つぎに,個々の油圧コンポーネントの効率を向上させる事は大事であるが,油圧システムの改善や建設機械の使われ方の改善によって油圧コンポーネントの効率向上のみでは達成できない大きな省エネ効果が得られる事例を紹介いただいた.さらに,CO2排出量低減の視点のみならず,カーボンニュートラルに欠かせないCO2吸収を促進する林業への貢献事例についても紹介いただいた.

3.おわりに

昨年度と一昨年度の活動は,コロナ禍の中で対面での会議開催が許されずにWeb開催となったが,今年度こそは委員会の諸氏が一堂に会する機会を持ちつつ,引き続きオンラインによる委員会活動ができることを願っている.

最後に,話題提供や議事録作成にご協力いただいた久保氏と林氏,日頃より本委員会の業務に尽力いただいている高辻幹事と一柳幹事に対し,この場をお借りして御礼申し上げる.

著者紹介

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西海孝夫 君

1976年青山学院大学理工学部機械工学科卒業,1979年成蹊大学大学院工学研究科博士前期課程機械工学専攻修了,1983年成蹊大学助手,1992年防衛大学校助手,講師,助教授を経て2007年同校教授, 2019年芝浦工業大学MJHEPプログラム機械工学科教授,現在 芝浦工業大学 非常勤講師.油圧および流体力学に関する教育研究に従事,日本フルードパワーシステム学会員,博士(工学)
E-mail: nishiumi(at)shibaura-it.ac.jp

 


表1 油圧機器のトライボロジーなど基盤技術に関する基盤研究委員会の構成
(2022年3月,順不同)

芝浦工業大学

UniKL JUPプログラム 非常勤講師

西海 孝夫

防衛大学校

システム工学群 機械システム工学科 教授

一柳 隆義

株式会社タカコ

技術本部 第一開発部

高辻 和正

株式会社不二越

油圧事業部 技術部 産機技術室 建機システム

井上 皓平

潤滑油協会

統括研究員

大塚 正和

日本フルードパワー工業会

 

大橋

KYB株式会社

基盤技術研究所 要素技術研究室 

小川

株式会社小松製作所

開発本部 材料技術センタ 第一グループ

川北 成美

イートン株式会社

技術部

黒川 道夫

日立建機株式会社

開発・生産統括本部 研究・開発本部
 
先行開発センタ コンポーネントグループ

櫻井 茂行

RMFジャパン株式会社

技術顧問

篠田 実男

日本アキュムレータ株式会社

常務取締役

杉村

株式会社日立製作所

研究開発グループ

鈴木 健太

ボッシュ・レックスロス株式会社

技術部 技術2

鈴木 教之

福井工業高等専門学校

機械工学科 教授

田中 嘉津彦

日本ルーブリゾール株式会社

工業用潤滑油添加剤 プロダクトマネージャー

富松 幸亮

ヤンマー株式会社

中央研究所 基盤技術研究センター 部長

中川 修一

川崎重工業株式会社

精密機械・ロボットカンパニー 精密機械ディビジョン
 
技術総括部 機器第一技術部 ポンプ設計一課

中辻

ダイキン工業株式会社

油機事業部 技術部 プロフェッショナル アソシエート

中辻

ENEOS株式会社

潤滑油カンパニー
 
潤滑油研究開発部 工業用潤滑油グループ

野中

油研工業株式会社

研究開発部 開発一課

平島 久央

大生工業株式会社

技術部

水落

株式会社南武

取締役 事業企画部 部長 設計部 技術統括兼務

八木

出光興産株式会社

潤滑油二部 営業研究所 設備油グループ

横山