資 料

 

深層学習を活用したフルードパワーシステムに関する研究委員会*

 

小林 亘**

 

* 202365日原稿受付

**岡山理科大学情報理工学部情報理工学科,〒700-0005岡山県岡山市北区理大町1-1

 


1.はじめに

本研究委員会は,深層学習をフルードパワーシステムに適用する場合の効果の検証およびその技術的課題を明らかにすることを目的として2019年に設置され,1年の活動延長を含む3年間の委員会活動を行ってきた.また,これまで得られた知見を広く活用するため,対象を「モデル化と制御」から「フルードパワーシステム全体」に拡大することを目的として,2022年度に「深層学習を活用したフルードパワーシステムに関する研究員会」を新たに設置している.以下では2022年度の活動報告に加えて2023年度の活動計画について簡単に紹介する.なお,2022年度は大学および企業委員を合わせて12名が参加している.

 

2.研究委員会の活動状況および2023年度の活動計画

2022年度の研究委員会は3回が開催され,「分類」「回帰」「深層学習」といった分類に分けた際のフルードパワーシステムへの適用可能性や具体的な適用先について検討するグループワークやディスカッションが行われた.共有された情報を基に次年度以降に具体的なベンチシステムの構築や実際に実験データを取得して深層学習の効果や可能性について検討することが確認された.また,2022年ウィンターセミナー「深層学習の基礎とフルードパワーシステムへの応用」において,本研究委員会で得られた成果を報告・共有することを目的に,清水自由理幹事(鞄立製作所)による講演「機械学習のフルードパワーシステム適用事例の紹介」が行われた.ウィンターセミナーでは,この他に機械学習を基礎から学ぶ「機械学習の基礎@A(李天鎬教授,岡山理科大学)」や数値流体力学分野への応用について紹介する「東洋大学計算力学研究センターにおける機械学習の利用(田村善昭教授,東洋大学)」が企画された.

2023年度は,1) ベンチシステムの構築および実験データの取得,2) これまでに議論された深層学習に関する各手法の適用および比較検証,3) 外部講師による講演および研究委員会活動成果への講評,といった活動を予定しており,本研究委員会で当初の目的としていた若手技術者の交流や情報共有を促進すべく,対面形式での開催についても検討している.

3.おわりに

2021年度に引き続きオンライン形式での開催となった2022年度は全3回の研究委員会が開催され,委員間で活発な意見交換がなされた.深層学習に関する種々の情報が広く共有され,深層学習の可能性を検討する材料を提供する場となった.2023年度には実際に深層学習を適用した結果に関してさまざまなアプローチによる検証を予定しており,深層学習に興味がある,もしくは深層学習のフルードパワーシステムへの活用を検討している皆様のご参加も心よりお待ちしている

著者紹介

小林 亘

こばやしわたる

小林 亘 君

2015年芝浦工業大学大学院理工学研究科博士課程機能制御システム専攻修了.同大学ポスドク研究員,2016年岡山理科大学助教を経て,2018年同大学講師,現在に至る.日本フルードパワーシステム学会,計測自動制御学会などの会員.博士(工学).

E-mail: w-kobayashi(at)ous.ac.jp