資 料
空気圧機器システム研究委員会報告書*
香川 利春**
* 2024年6月26日原稿受付
** 株式会社 空気圧工学研究所,〒213-0013 神奈川県川崎市高津区末長1-49-1-3042
本研究委員会では空気圧をいかに使うべきか,省エネの方法にはどんなものがあるかについて,産学官の参加者を迎えて鋭意研究を進めている.研究委員会の内容紹介として第二回研究委員会の内容を紹介する. 本研究委員会は2022年7月4日にSMC株式会社秋葉原本社で見学会を併設して対面およびハイブリッドで行われた(図1).
委員長:東京工業大学・空気圧工学研究所 香川利春
副委員長:東京電機大学 藤田壽憲
幹事: 東工大大学院 武石桐生
【提供された話題】
1-1) 横河計測における機器システム:堀江淳二
横河計測では多チャンネルのデータ収集装置をはじめ種々の計測装置並びに精密圧力計測器並びに圧力発生機を開発販売している.日本フルードパワーシステム学会としては重要な計測領域の機器を供給する企業であるため,一昨年度より賛助会員として入会いただいている.
1-2) フルードパワーにおける計測制御:横浜国大 眞田一志
圧力計測を中心として多くの問題点と解決法を講演していただいた.
1-3) 便器における流体力学:TOTO 池端昭夫
便器における流体力学について,CFDを用いて解析を行い残存便の減少と洗浄水の減少を試みた.
2-1) SMCにおけるCO2排出量削減の試み:SMC(株)技術研究部 蔵上大輔
空気圧アクチュエータの主要なシリンダを中心としてシミュレーションを用いて消費エネルギーを求め省エネルギー化を行っている.電動アクチュエータとの比較も行っている.
2-2) 空気消費量が半減する空気圧シリンダ「DCA」:東工大 北川能名誉教授
ダブルシリンダアクチュエータ(DCA)は,2本の片シリンダのロッドを連結したもので,差動回路を重層的に用いることにより空気の膨張過程のエネルギーも有効に利用するため,圧縮空気消費量が半減する空気圧シリンダである.
2-3) 空気圧による漏れ計測:(株)エイムテック 技術部 佐々木優
エイムテックのサーバープロの動作原理の温度補償法を解説した.
2-4) エアタービンスピンドルを用いた切削加工における外乱推定オブザーバーを用いたインプロセス工具損耗推定方法 福岡工大:加藤友規(現法政大学)
切削加工において重要なエアタービンスピンドルについて工具損耗推定法について詳細な解説が行われた.
2-5) 柔軟シート型空気圧アクチュエータによる進行波の生成としわ伸ばし動作への応用:
東工大院 小池和生(塚越秀行研究室)
寝たきりの人間のベッドのしわ伸ばし動作への応用についての説明がなされた.
2-6) フルードパワー産業界から研究機関への期待:日本フルードパワー工業会
藤原達也
フルードパワーシステム学会:成田晋氏らによって産学連携をいかに進めるかについて説明があった.
2-7) 空気圧継手のJIS規格(株)ニッタ:浅里信之
空気圧機器においては継手は欠かすことのできない機器であるが,その性能試験法についての説明が行われた.
かがわ としはる
香川 利春 君
1974年東京工業大学制御工学科卒
北辰電機製作所技術部門,1976年東京工業大学助手,講師,助教授を経て1996年精密工学研究所教授,生体計測,プロセス制御,空気圧工学を研究.本学会会長,現在名誉員,東京工業大学名誉教授.
E-mail:tkagawa0256(at)gmail.com
図1 SMC秋葉原本社における研究委員会 |