本学会では,学会誌「フルードパワーシステム」を隔月に発刊しており,本年度は第55巻3号(5月号),第4号(7月号),第5号(9月号),第6号(11月号),第56巻第1号(1月号),第2号(3月号)に加えて,8月に緑陰特集号Vol.55 No.E1(本学会HPにおいて電子版公開,https://jfps.jp/03_02.html)を発行した.各号において,フルードパワーシステムに関連する研究や技術の紹介記事を多角的な視点から構成した特集を組んだ.この他に,会長と副会長の挨拶,ニュース,会議報告,トピックス,研究室紹介,企画行事の記事を会員に情報提供している.トピックスにおいては,学生さんへ先輩が語る,駐在員日記,youは日本をどう思う?などのテーマがあり,学生会員やフレッシュマン諸氏に読みやすい記事を構成した.以下の章では学会誌各号の概要について紹介する.
データとデジタル技術を活用した生産技術に空気圧工学が支援する事例を中心に特集している.記事は6件あり,空気圧サーボを用いて回転数制御される切削工具の損耗推定,超精密加工機における高速応答レギュレータの適用検討,空気圧機器のIO-Link対応,空圧式アクティブ除振台の除振・制振技術,エアパワーメータを活用した空気圧システムの省エネルギー診断,圧力監視による空気圧機器の状態見える化,について説明している.
7月号でははじめに会長 田中豊氏と副会長 嶋村英彦氏・副会長 川上幸男氏・副会長 佐藤恭一氏による就任の挨拶を掲載している.つぎに本特集では,フルードパワーの分野におけるモデル開発Model-Based Developmentの活用事例に加えて,軸流ファンによる電子機器の冷却と自動車産業界におけるMBD推進センターの活動を紹介している.特集記事の内容は以下の通りである.モデルベース開発と想定設計手法の連携による手戻りゼロの実現に向けて,FEMモデルの機械学習モデルへの縮退化と1DCAEの実装に関する取り組み,フルードシステム開発におけるバーチャルプロトタイプMBDの適用,油圧分野におけるモデルベース開発の事例紹介,モデルベース開発(MBD)プラットフォームによる油圧制御システム開発―持続可能な産学連携を目指して―, MBDの活用に向けた軸流ファンのプラントモデルの課題―電子機器の熱対策・熱設計におけるファンの冷却性能評価を例として―,「SURIAWASE2.0」によるモビリティ社会の最先端開発コミュニティの実現,ソフトウェアを使用した温度シミュレーション,について紹介している.
令和6年度のフルードパワー技術に関する展望を油圧分野,空気圧分野,水圧分野および機能性流体分野の研究動向を解説している.また,小特集「日本フルードパワーシステム学会賞受賞者および研究委員会の紹介」には,学術論文賞,技術開発賞,SMC高田賞,学術貢献賞,技術功労賞,油空圧機器技術振興財団論文顕彰の各受賞者および名誉員による随想を掲載するとともに,4件の研究委員会の活動を報告している.
本特集では,空気圧,油圧およびMR流体に電動技術を融合したロボット,アクチュエータおよびショベルを紹介している.特集の記事は,空気圧駆動と電動駆動を併用した手術支援ロボット,融合型ハイブリッドリニアアクチュエータ,MR流体を用いたロータリーアクチュエータ,電動油圧アクチュエータ,ロボット向け電油アクチュエータの開発,バッテリー駆動式ミニショベルの開発,について説明している.
機械工学を学んでいる学生に向けて専門分野の選択の一助となるようにフルードパワーの最新の研究・開発および技術動向を解説している.特集記事は,超大型機械を動かすためのフルードパワー,医療に貢献するフルードパワー,水素に関する取り組みと関連機器の紹介,超高圧処理装置の全固体電池への応用,省エネルギー化に向けた油圧要素技術,支援モード切替機能を有すパッシブ型動作支援装置の開発と活用事例,について紹介している.本号は学生諸氏をフルードパワー分野へ導くことを目的としており,通常の日程より早期に本学会HPにおいて公開している.
1月号でははじめに会長田中豊氏と副会長嶋村英彦氏による新年の挨拶を掲載している.続いて2024年9月18日から20日の期間,東京ビックサイトの会場で開催された第27回フルードパワー国際見本市の特集を掲載している.はじめに企業や大学により公開された油圧分野,水圧分野,空気圧分野の技術動向を特集している.つぎに大学・高専のフルードパワーに関する15件の研究成果とその抜粋をカレッジ研究発表の題目でまとめている.さらにフルードパワーを活用したロボットの記事では3大学研究室のブースで展示されたロボットを紹介している.油空圧技術(日本工業出版株式会社)主催の併設特別セミナーの記事では,産学の講師による油圧分野の講義と最新の油圧技術の講演内容を解説している.最後に(一社)フルードパワー工業会による油圧空気圧合同特別企画「フルードパワー若手技術者たちによるX24プロジェクト」を紹介している.
2024年10月22日から10月25日の期間に第12回JFPS フルードパワー国際シンポジウムが広島国際会議場において開催された.本特集はシンポジウムの概要を以下の記事から紹介している.JFPS2024広島の実施報告,会場,運営,プログラム,招待講演,講演論文の管理,油圧分野の研究動向,空気圧分野の研究動向,機能性流体分野の研究動向,水圧分野の研究動向,展示分科会活動,表彰,Best Student Paper Awardを受賞して,について紹介している.
会誌の記事をご投稿いただいた著者の皆様に厚く御礼申し上げる.会誌のバックナンバーは本学会HP ( https://jfps.jp/03_04.html )にて検索することができる.以上で紹介した会誌第55巻第3号から第56巻第2号は順次公開の予定であり,ご活用いただけると幸いである.本会誌の内容の充実および発展を編集委員が取り組んでいるが,ご提案いただけることがあると推察しており,会員の皆様からのご希望やご要望をお待ちしている.末筆にて,編集委員会の委員,編集事務局および学会事務局の皆様には多大なるご支援を賜り,深く感謝申し上げる.
むらまつ ひさみ
村松 久巳 君
1989年東京理科大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程修了.沼津工業高等専門学校 機械工学科 助手,講師,助教授,准教授を経て,2008年機械工学科 教授 2024年名誉教授,現在に至る.2016年から2020年 日本フルードパワーシステム学会理事,会計委員長,編集副委員長,2022年から2024年 評議員,2024年から現在 理事,編集委員長,空気圧工学の研究に従事.日本フルードパワーシステム学会,日本機械学会などの会員.工学博士.
E-mail:muramatu(at)numazu-ct.ac.jp